よくあるご質問 【人事ご担当者様】

「労働者派遣法」とはどのような法律ですか?

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(昭和61年7月1日施行)の略称で、主な目的は以下の通りです(法第1条)。
1.職業安定法と相まって労働力需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずること。
2.派遣労働者の保護等を図ることによって、派遣労働者の雇就業条件の整備用の安定その他福祉の増進に資すること。

「紹介予定派遣」と「一般派遣」は何が違うのですか?

「紹介予定派遣」は、一般派遣にプラスして職業紹介が行われることが予定されていることを前提としており、「一般派遣」との主な違いは以下の通りです。
1.派遣期間が6ヵ月間を超えてはならないこと。
2.派遣先による派遣労働者の特定行為が禁止されてないこと(派遣労働者の受け入れに際し、一般派遣で禁止されている事前面接、履歴書の送付が可能です)。

また、紹介予定派遣以外でも一部可能ではありますが、紹介予定派遣の場合は、医療機関等への医療関係業務(医師、看護師等)の派遣が可能です。

「労働者派遣」と「請負」は何が違うのですか?

「派遣」と「請負」の違いについては、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年4月17日労働省告示第37号)により定められています。
派遣の特徴として、派遣先は、自らが雇用していない労働者を指揮命令し、自らの労働に従事させることができます。しかし、請負で発注者が請負会社の従業員に指揮命令すると、前記の基準に基づき違法となります。請負会社は、請負業務を発注者側から事業運営上も業務管理上も独立して、業務遂行しなければならず、これが派遣との請負の大きな違いです。

「二重派遣」とはどのようなものですか?

派遣元が派遣先に派遣した派遣労働者を、その派遣先がさらに別の事業主に派遣し、その事業主が派遣労働者に指揮命令し、自らの業務に従事させることを一般的に「二重派遣」と呼んでいます。
この場合、この3社(派遣元・派遣先・別の事業主)は、職業安定法で禁止している労働者供給事業を行ったとして行政処分を受ける可能性があります。

派遣先責任者は必ず選任しなければならないのですか?また、特別な資格が必要ですか?

派遣先責任者は派遣元責任者に対応するもので、必ず選任しなければなりません(法第41条)。
特に資格は必要ありませんが、派遣労働者を直接指揮命令するものを監督できる地位の方であり、労働関係法令や人事・労務管理に関する知識を持ち、派遣先責任者の責務遂行に関して一定の決定・変更を行なえる権限を持つ方が望ましいと思われます。
また、派遣先責任者の人数については派遣先事業所ごとに受け入れ派遣労働者1人以上100人以下を 1単位とし、1単位につき1人以上ずつ、派遣先が雇用する労働者の中から選任しなければなりません。ただし、派遣労働者の数と当該派遣先に雇用される労働者の数の合計が5人以下のときは、派遣先責任者を選任しなくてもよいことになっています(則第34条)。

派遣先責任者は、指揮命令者を兼ねられますか?また、指揮命令者の氏名は明記する必要がありますか?

派遣制度上は、別の者であることを想定していると考えられますが、兼務を禁止する定めはありませんので、派遣先責任者が指揮命令者を兼ねることは可能です。
また、指揮命令者の氏名は労働者派遣法第26条第1項第3号によって派遣契約の締結に際して定めておく必要があり、さらに書面に記載を義務付けられています(則第21条第3項)。通常は、派遣契約の書面に明記されます。

派遣契約に記載されていない仕事を命じたり、契約内容を勝手に変更したりすることはできますか?

派遣労働者は、あくまでも派遣契約で決められた業務や条件に基づき派遣業務を行い、派遣先も「派遣契約の定めに反することのないように適切な措置」を講ずるよう、派遣法においても義務づけられています。
したがって契約業務以外の仕事を派遣先が命じたり、条件を勝手に変更することはできません。派遣先、派遣元間において派遣契約条件の変更契約、また派遣元、派遣労働者間において派遣雇用契約条件の変更契約が必要となります。
なお、業務内容に関しては、契約業務に付随して行う業務や周辺業務がどこまで契約内容として含まれているのかなどの判断が難しい場合もありますので、あらかじめ業務内容を細かく契約しておく必要があります。

派遣契約を派遣先の業務上の都合により中途で解約することはできますか?

いわゆる「派遣切り」と呼ばれるケースに該当するものですが、派遣法第29条の2及び派遣先(元)が講ずべき措置に関する指針に派遣先の都合で派遣契約を中途解除する場合には、以下の対応が必要となっています。
1.派遣会社の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣会社に解除の申し入れを行うこと。
2.派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。
3.派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることができない場合には、少なくとも中途解除により派遣会社に生じた損害の賠償を行うこと。
4.派遣会社と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。
5.派遣会社から請求があった際は、中途解除を行った理由を派遣会社に対して明らかにすること。

派遣期間の更新を、派遣先と派遣労働者との間で決めても構いませんか?

派遣先は派遣元との派遣契約に基づき役務の提供を受ける形態をとっています。したがって、派遣先は派遣労働者との雇用契約にかかわっていませんので、たとえ本人の了解を得たとしても法的な効力はありません。
また、派遣契約の更新に伴い派遣先が派遣労働者を特定して契約を更新するとみなされますので、このような場合には、やはり雇用主である派遣元へご連絡の上契約を更新していただくことになります。

派遣労働者には派遣元・派遣先どちらの従業員規定が適用になるのですか?

基本的には雇用主である派遣元の規定が適用になります。しかし、就業時間や休日などは派遣先によって異なりますので、派遣元の規定の範囲内でその都度「労働者派遣契約」で取り決めることになります。
規定が無いものや特殊な事情により規定外の取り決めが必要な場合は、個々の状況に照らして、その都度ご相談させていただきます。

派遣労働者の履歴書を提出してもらうことを、派遣先が派遣元へ求めることは可能ですか?

わが国では、採用にあたって履歴書の提出を求めるのが通常です。雇用主が当然に負う使用者責任からいっても、その身元について最小限の情報は把握しておく必要がありますが、派遣先は派遣労働者とは雇用関係はなく、雇用責任を負う立場にはありません。
労働者派遣法では、「労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」と規定されています。したがって、紹介予定派遣の場合を除き、派遣先は派遣元に対して履歴書等の提出を求めることはできません。
ただし、派遣労働者となろうとするものが、自らの判断のもとに履歴書を送付することはこの限りではありません。

派遣労働者の交代を要求できますか?

派遣労働者の国籍、身上、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由としての交替要求はできませんが、これ以外の理由で派遣労働者の交代を要求することは可能です。
一般的には、派遣基本契約などに、派遣先の業務指示や職場規律に従わない、業務処理の能率が著しく低く、労働者派遣の目的を達しないなどの理由により交替要求が可能とされています。
また、いわゆるスキル不足という場合には、派遣契約において、どのようなスキル要件を定めていて、それを満たしているか否かという点がポイントになりますので、あらかじめ派遣契約にどのような能力や経験を要件とするかなどを、詳細に打ち合わせを行う必要があります。

派遣労働者に出張を頼むことはできますか?

派遣契約に定める業務の範囲であれば可能です。
ただし、派遣契約上には、就業する場所の定めもありますので、出張先がその場所と異なる場合には、派遣先管理台帳への記載が必要です。また、あまり長期にわたる場合は、契約内容の変更が必要になる可能性もありますので、派遣元との協議が必要です。

派遣労働者の業務上災害および通勤災害の手続きは派遣先と派遣元のどちらが行うのでしょうか?

労災保険は、雇用関係のある派遣元で加入していますので、いずれの場合も労災保険の給付請求は派遣元を通じて行います。ただし、業務上災害の場合は、派遣先は、所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告書を提出しなければならず、その写しを派遣元に送付しなければなりません。

派遣労働者の健康診断は、派遣元と派遣先のどちらが実施するのでしょうか?

派遣労働者との雇用関係は、派遣元にありますので、一般健康診断は派遣元が実施します。ただし、有害業務についての特殊健康診断は派遣先が行い、この結果を記載した書面を派遣元へ通知しなければなりません(法第45条第10項、安衛法第66条)。
なお、派遣労働者の一般健康診断の個人票は派遣先へ提出できないことになっています。

派遣先における派遣労働者の受け入れ体制について、何か規定はありますか?

派遣先責任者の選任、「36協定」の遵守、安全面の管理体制など労働者派遣法、労基法および安衛法などの労働基準法一般の義務的なものの他には、特別の受け入れ体制が必要というわけではありません。しかし、派遣先の社員の方と一体となってする仕事が多い実情を考えると、それに適した職場環境の整備や人間関係がスムーズに築かれるようにご配慮いただくことが望ましいと言えます。